東日本大震災から12年。

2023年3月11日 08時00分

極限状態にあっても、優しさを失うことがなく、沈着冷静に振舞った被災者の姿、県内外から駆け付けたボランティアの姿がありました。思いやり、やさしさ、気力、人間としての美しさ、尊厳。それらは、人間の中に私たちの中にあるものです。

被災の真っただ中であっても表に出てきました。それらは、穏やかな日常が立ち戻ってきた時に、また隠れてしまうものであってほしくありません。そして、隠されてしまってはならないものです。

 

 3月10日と11日 

東日本大震災から12年。あの日報道された光景に茫然自失となったことを鮮明に記憶しています。この時期は、震災に関連するテレビ番組放映や報道も増え、その映像なども見返すことがあるのですが、怖くて胸が苦しくしんどくなります。映像ですら大きな心の痛みを感じるですから、実際に被災された方々の恐怖や苦しみ、苦労は想像を絶するものがあるでしょう。その前日、3月10日は、東京大空襲から78年目になります。第二次世界大戦末期、アメリカ軍による東京都に対する焼夷弾を使った無差別攻撃は、一夜にして10万人ほどが焼き尽くされた惨事と言われますが、ヒロシマやナガサキに比べて圧倒的に情報量が少ないのが現実です

震災の復興は道半ばですが、今の日本の繁栄や幸福は、戦争や震災など、多くの人々の命の犠牲の上にあることを忘れず、事実や教訓を決して風化させてはいけないと思います。このような機会あるごとに、教員や保護者など大人たちの体験や考え、思いを是非に子どもたちに語り伝えたいと思います。震災前は、卒業式直前で、希望に胸膨らませていた児童生徒たちが、突然ふるさとや家族、仲間を失った悲しみ、その直後、立ち上がっていく姿は、同じ3年生の立場で想像すれば、思いに寄り添うことができると思います。

釜石市で中学生が幼い子を抱いたり、手を引いたりしながら避難を率先した姿、失意の中、避難所でボランティアをする中学生の姿などは、同じ中学生として学ぶべきことが多くあると思います。命の尊厳、人々の絆や連帯、困難に打ち克つ生き方、人権尊重や平和希求の精神、南海トラフと大地震を想定した防災意識や危機管理意識、そして日常生活における行動化など、多様な切り口が可能だと思います。

土居中